音楽にはさまざまな力があります。多くの人が音楽を聴いて思わず体が動いたり、 癒されたりした経験があるのではないでしょうか。
これらは音楽の力の一例ですが、音楽療法ではその他にもある さまざまな音楽の力 (生理的、心理的、社会的、認知的な面に作用する力) を具体的に用いて、 それぞれの子どもの状態に合わせた発達を促す仕掛けをします。
そのように行われる音楽活動は楽しく、どのような状態の子どもでも参加でき、 子ども自身が主体的に活動する場になります。
子どもの音楽療法は、発達心理学、認知理論、学習理論、発達学、行動論などに基づき、 子どもの状態に合わせた手法を選択し、組み合わせて行われます。
以上のような活動を通して、音楽の力によってやりたいという意志が引き出され、 自らその行為を行っているという主体感を持つことができます。 そして、その活動を自分自身が成し遂げたという喜びや誇りを感じることができます。 それは成長へと向かう力、生きる力を育みます。
私たちは「言葉だけでは伝えることができない思い、言葉では言い尽くすことができない思い」を、音楽で表現しています。
たとえ身体が思うように動かなくても、言葉を表出することができなくても、音楽を感じ、表情や行動にして表現することができます。
個々に存在している私たちですが、音楽の中ではつながり、共感し合い、今この時をともに生きていると実感することができます。